停電の影響を把握し、初動対応の品質を上げる
落雷や台風などの天災や、事故が原因で、電力会社の送電が停止することがあります。データセンターや工場のみならず、どのような建物でも停電は多大な被害を受けるので、電気設備の管理者は、万全な対策をとっておきたいものです。
しかし、停電の影響度を把握して、対応を決定することは容易なことではありません。判断するための情報が不足しているため、次のような弊害が起こります。
- 電力会社に問い合わせると、停電情報を得ることができますが、 停電の正確な期間、波形(波高)がわかりません。瞬時停電の場合、何サイクル停電したかがわかりません
- 自社内の配電盤に停電監視用ロガーを設置している場合、データ回収、PCへデータの取り込み、分析するまで、状況がわからない
- 結果として、情報共有も、初動の決定も遅くなります
電源品質アナライザとGENNECT Remoteを使用した場合
電源品質アナライザ(以下、PQA)とGENNECT Remoteを使えば、停電が発生してすぐに詳細な情報を関係者に共有でき、初動が早くなります。
- PQAで測定することにより、停電の期間、波高、サイクルを把握することができる
- 停電が発生すれば、すぐにメール等で連絡が来ます。現場に行かなくても、その波形を見ることができる
- 関係者に情報共有でき、すぐに対応を協議できる
- 結果として、初動対応の品質が上がり、かつ迅速に実行できる
システム構成
PQA
引き込み口や各変電設備にPQAを設置して、停電イベントを監視します。もちろん、他の電源品質イベントも同時に監視できます。
PQAを高圧部に直接接続することができません。PTやCTで低圧に落とした箇所で測定してください。
ゲートウェイ
PQAとゲートウェイをLAN接続するだけで、クラウドサーバーに接続完了です。
PQ One
Windows PCにPQ One(PQA付属のWindowsソフト)をインストールしてください。PQAの測定ファイルを閲覧するために必要です。
監視方法
電力会社の停電か、自社内の停電か
- PQAが電源品質のイベントを測定すると、詳細な測定ファイル(波形ファイル)がクラウドサーバーに転送されます。その後、電源品質イベントが発生したことを通知するメールが配信されます。
- まず、電力会社に停電情報を確認します。もしその情報と、PQAが測定した停電時刻と同時刻であれば、電力会社の責任の送電停止である、と問題を切り分けることができます。もし同時刻の停電がなければ、自社内の漏れ電流などが原因で停電したかもしれません。
- 次に、PQAで測定した停電発生時の波形を見て、影響を把握します。
詳細波形を確認
事務所でメール通知を受けたときはPQ Oneですぐに測定ファイルを見ることができますが、外出中なら見ることができないかもしれません。ここでは2通りの場面に分けて説明します。
(1) PQ Oneで閲覧する場合
PQAで測定した測定ファイルを閲覧するためには、PQ One(PQA付属のWindows用ソフト)をインストールしたPCが必要です。
- ブラウザで、GENNECT Remoteにログインします。ドライブ機能の計測器データファイル一覧より、停電の測定ファイルを選択してダウンロードします。
- ダウンロードした測定ファイルをPQ Oneで開きます
※ PQ3198の測定ファイルを取得するには、一度測定を停止する必要があります。
(2) ブラウザで閲覧する場合
PQ Oneを使用できない場合、測定ファイルをダウンロードするのではなく、コンソール機能を使用します。PQAを遠隔操作し、PQA内に保存されている測定ファイルを直接見ることができます。
- ブラウザで、GENNECT Remoteにログインします。コンソール機能で、PQAに接続します。
- コンソール機能では、ブラウザ上に表示されるボタンを押すことにより、PQA本体のボタンを押すことと同様の操作できます。つまり、そのボタンを操作して、PQA本体でイベント波形を見ることができます。ただしダウンロードはできませんので、ブラウザのスクリーンショットを撮るなどして分析にお役立てください。
対策を協議する
停電イベントの波形の記録長は、0.2秒間(50Hzで10波分。60Hzで12波分)です。波形を見て、停電の期間、波高、サイクルを把握することができます。
そして、複数人のメールアドレスを通知メールの通知先として登録することにより、一斉に情報共有できるので、円滑に対策を協議することができます。その結果、初動対応の品質が上がり、かつ迅速に実行できるようになります。
対応計測器
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