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絶縁抵抗計の出力電圧

出力電圧

直流電圧

絶縁抵抗測定は、直流電圧で測定します。 印加する試験電圧(定格測定電圧, レンジ)の大きさは、被測定物により異なります。

よって、絶縁抵抗計の出力電圧は、次のようになります。

  • 直流電圧
  • 定格測定電圧の設定を切り換えることにより、出力電圧の大きさを変更できる

絶縁抵抗計は、直流電圧を被測定物に印加し、電流を測定することにより絶縁抵抗値を演算して表示しています。

ロータリースイッチで出力電圧の大きさを設定します

出力電圧の特性

出力される電圧は、設定通りの電圧値ではなく、少し大きめの電圧になります。 通常、1.1倍から1.2倍ぐらいの電圧を出力しています。

もし設定通りの電圧を出力しているなら、環境温度や湿度の影響、被測定物の容量成分、絶縁抵抗計の経年変化により、出力電圧が低くなる可能性があります。 規定値より低い電圧で試験することは、正しく絶縁抵抗値を診断できません。

想定できる現場環境で、正しく絶縁抵抗を測定できるために、試験電圧が少し大きく出力しています。 絶縁抵抗計の規格JISC 1302においては、定格測定電圧の1.25倍まで出力していいことが決められています。

逆に、絶縁抵抗計からの出力電圧が小さくなることもあります。 絶縁抵抗計は電池駆動ですので、出力できる電圧(電力)が限られてきます。 測定している絶縁抵抗が小さくなると、流れる電流が大きくなります。 そして、極端な例では両端子が短絡状態になると、大電流が流れることになります。 しかし、絶縁抵抗計の出力部は、大きな電力を発生できないので、出力電圧はゼロVになります。

では、どれくらいの抵抗を測定しているときに、出力電圧が減少していくのか? が問題となります。 この抵抗値はおおよそ、電気設備に関する技術基準を定める省令第58条に定められている合否判定値の近傍となります。 つまり、125Vレンジなら0.1MΩ付近、250Vレンジなら0.2MΩ付近、のようにです。

現場では、この法的な合否判定値を使用せず、数MΩ、数十MΩで判断します。 よって、その範囲においては、規定通りの電圧が出力されたときの測定値ですので、心配はありません。

逆極性で発生する

絶縁抵抗計のLINE端子とEARTH端子間に直流電圧が発生します。 名前から考えると、LINE端子が+端子、EARTH端子が-端子に思えますが、それは逆です。

絶縁抵抗計は逆極性になっています。つまり、LINE端子が-端子、EARTH端子が+端子です。

ややこしいように思えますが、これは歴史的な理由から来ています。

高圧ケーブルの絶縁抵抗を測定するとき、電線を+、遮蔽相を-に接続するよりも、逆の電線を-、遮蔽相を+に接続する方が、絶縁抵抗値が低いとわかっていました。 フェールセーフの考え方から、低い絶縁抵抗値(最悪値)で判断した方が、安全ですので、電線は-端子、遮蔽相は+端子に接続することが、正しい測定方法でした。

一方、絶縁抵抗計の工夫として、電線と遮蔽相に間違って接続しないように、電線につなげる端子をLINE端子、遮蔽相に接続する端子をEARTH端子と名付けました。 その後、LINE端子、EARTH端子という名称は一般的になり、LINE端子は-端子、EARTH端子は+端子となりました。

絶縁抵抗計の出力電圧は、逆電圧になっています

絶縁抵抗計の測定端子電圧特性

最後に絶縁抵抗計の仕様から、出力電圧の特性(測定端子電圧特性)をまとめます。

絶縁抵抗計の取扱説明書や仕様書に、測定端子電圧特性が示されています。 ここでは、IR4052の特性図で説明します。

絶縁抵抗計の出力電圧は、必ずしも設定した電圧ではなく、被測定物により変化します

この特性図からわかることは、次の通りです。

  • 開放回路電圧
  • 各試験電圧で、その電圧が出力できる抵抗範囲

定格測定電圧500Vのグラフに注目して説明します。0.5MΩ境にグラフの様態が変わります。

まず、0.5MΩ以上の発生電圧が一定である範囲から見ていきます。

0.5MΩ以上の範囲においては、被測定抵抗の大きさによらず、出力電圧が一定であることがわかります。 しかし、出力電圧の大きさは500Vではなく、500Vより少し大きいこともわかります。 つまり、正確に500Vを出力しているのではなく、絶縁抵抗計の規格JISC 1302で定められた、1.25倍以内の電圧を出力しています。

次に、0.5MΩ以下の範囲についてです。

0.5MΩ以下になると被測定抵抗が小さくなるにつれて発生電圧が減少していきます。

300Vを超える設備を、試験電圧500Vで測定しているなら、絶縁抵抗値の法的な合否判定は0.4MΩとなります。(電気設備に関する技術基準を定める省令第58条) 特性図より、0.4MΩを測定するときの出力電圧は、500V付近になっていることがわかります。

それより絶縁状態が劣化したものを測定する場合、500V以下の出力電圧で測定していることになります。

現場では、この合否判定を使用することは少なく、もう1, 2桁高い判定値、4MΩや40MΩを使用すると思いますので、500V以上(1〜1.25倍以内)の試験電圧で測定できていると言えます。

絶縁抵抗計により測定端子電圧特性は異なりますので、取扱説明書または仕様書の確認をお願いします。

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